村内巡回つれづれに・椎葉村松尾から №3

お盆に帰省した古い友人に「ついでに大ヒノキや大杉も見て帰らんね」 と外交辞令のつもりで話したところ、見に行ってくれて、ものすごく感動したと電話をもらいました。
「あんなすごいものがあるんだからもっとPRしたらー・・・宝の持ち腐れじゃがー」と。
灯台下暗しでもいけないと、今日は久しぶりに仕事の途中で立ち寄ってみました。
   なるほど・・・   なるほど・・・

山仙人は子供のころから何回となく見ている木だけに、感動とまではいかなくても、たしかに大きい・・・
モノノケか妖怪が棲みついていそうな・・・
檜らしからぬグロテスクな威容におもわず背中がゾクッ・・・
たしかに地元の人の話では、この木にまつわる奇談・怪談の言い伝えがあるそうです。
   そのあと 大杉を見物。

十根川の大杉は「八村杉」(やむらすぎ)といわれ、那須の大八郎手植えの杉と伝えられています。
十根川は、源の頼朝から平家の残党追討の命を受けた那須の大八郎宗久が、椎葉に遠征して来たときに、初めて陣屋を構えたところとされています。
その十根川神社の境内に天を貫くように立っています。

おそらく大八郎手植えの杉ということもあって大切に育てられたのでしょう。
杉の性格そのもの、素直に真直ぐに育ったエリートといった樹勢です。
(それとは対照的に大ヒノキは、苦難と忍耐の樹生(人生)を耐え抜いてきたという威容です。)

十根川神社は古い歴史を持ち、格式の高い神社とされ、近郷近在から信仰を集めていたようです。
近世では第2次世界大戦で召集され、出征した息子や夫の「武運長久・無事帰還」を祈願して、親戚身内を引き連れて遠いところからまで参拝して、「夜籠もり」までしたものだと、先年100歳で他界した戦争未亡人の叔母から,そのころの話を聞いたものでした。
そうした、故郷で帰りを待つ多くの人々の願いもむなしく、椎葉村でも391人の尊い命が戦争で散っていきました。

椎葉ダムが一望できる総合グランドに慰霊塔が建立され、椎葉村ではその英霊たちを供養して毎年追悼式が行われています。今年は10月28日に挙行されるそうです。
話題が陰気な方に進んでしまいましたが、お盆明け、終戦記念日、十根川神社と、なにか因縁めいたものから背中を押されて、こんな記事になったのかも知れませんね。
話題をかえて・・・
今日(8月21日)、小崎から大河内に越える飯干峠ではもうススキの穂が出て風にそよいでいました。秋は山の上から下りてくるようです。

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『村内巡回つれづれに・椎葉村松尾から №3』へのコメント

  1. 名前:はっつぁん 投稿日:2010/08/27(金) 18:56:44 ID:55c6b3871

    椎葉の山千人だから書ける記事に
    うなずいたり、共感したり、
    胸がじーんとなったりしています。
    宮崎の椎葉を感じています。
    ありがとうございます。